PerCom2024 参加報告
吉村 直也 (大阪大学)
2024年3月11-15日に Biarritz (フランス) で開催された国際会議「the 22nd International Conference on Pervasive Computing and Communications (PerCom2024)」に参加しました。本会議は完全オフラインで開催されました。簡単にではありますが、現地の様子を報告します。
会議はワークショップが初日と最終日にあり、中3日間が本会議でした。メイントラックには158本の投稿があり、採択数は23本 (Full-paper 15本, Consice 8本) 、採択率は14.6%でした。日本からの発表も多数あり、採択された論文数と参加者数では日本が国別3位でした。各トラックにおける採択数と日本からの採択数は以下の通りでした。ワークショップでも多数の発表があり、Coffee Breakの時間も含め活発に議論がされていました。
採択論文数:
- Main Track (Presentation): 23件 (3件)
- PhD Forum(Poster): 11件
- Demo (Poster): 9件 (3件)
- WiP(Poster): 18件 (4件)
- Indusrial Track(Presentation): 5件 (3件)
*カッコ内が日本からの採択数
初日は、Cecilia Mascolo先生 (Cambridge, UK) による基調講演「The sound of health and fitness sensin」から始まりました。ウェアラブルデバイスを用いたヘルスケア関連の研究に取り組まれている先生です。様々なトピック触れられていましたが、私の中では咳の音がCOVID-19患者とそれ以外で違うことに着目し、スマートフォンのマイクで簡易的な診断をする技術が特に印象に残りました。
二日目は私のプレセンテーションがありました。論文のタイトルは「OpenPack: A Large-scale Dataset for Recognizing Packaging Works in IoT-enabled Logistic Environments」で、産業ドメインにおけるマルチモーダルデータセットの提案をした研究です。データセットは提案して終わりではなく、多くの人に活用してもらうことで初めて価値が生まれます。昨年からデータセットの一部を活用したコンペを行うなど活用を促す活動を始めていましたが、今回ようやく論文として採択されたことで、データセットの詳しい説明をプレゼンテーションとして行うことができました。事前に十分に準備をすることができず、現地に入ってからスクリプトを修正・暗記するという状態でした。最後の方は時間が足りず駆け足となってしまいましたが、全体としてこのデータセットの面白さを伝えることができたと思います。
バンケットは会場からは少し離れたGala Dinnerで行われました。まず最初に、目の前で原木から切り出してくださる生ハムや、目の前でスモークされたサーモンなどを堪能し、その後夜9時くらいからメインメニューが提供されました。絶好のロケーションで、美食の国フランスを堪能できるお料理を参加者全員で楽しみました。またバンケットの途中で、各賞の表彰式がありました。なんと日本からはBest Demo Awardに廣井先生 (京都大学) の「Demo: Flood Damage CyRealization with an Orchestrator Framework」と、Best WiP AwardにXiaさん (大阪大学) の「Preliminary investigation of SSL for Complex Work Activity Recognition in Industrial Domain via MoIL」の2件が受賞しました。おめでとうございます!
開催地は、スペインとの国境近くにあるBiarritzです。フランスでは有名なリゾート地の一つであり、美しい海岸線に囲まれ、サーフィングスポットとして有名です。月曜日は非常に風が強く海も荒波が立っていましたが、二日目以降は青い空と打ち寄せる波の音が心地の良い素晴らしい天気でした。会議で出されたご飯も含め、どこに行っても美味しいご飯をいただけました。最終日は指導教員の前川先生と一緒に2021年にミシュランを獲得したビストロ「Le Pim’pi Bistrot」に行きました。繊細な味わいと、食べていて楽しくなる食感の料理の数々に舌鼓をうちました。
最後になりますが、「国際発表奨励賞」として今回の渡航を支援してくださったUBI研究会の皆様に多大なる感謝を申し上げたいと思います。また、研究を支えてくださった指導教員の前川先生をはじめ、本研究についてコメントをくださった皆様に改めてお礼申し上げます。今回のPerComでも日本勢は大きな存在感を示していました。来年はワシントンDCで開催されるとの発表がありました。来年のPerComでは、さらに大きな存在感を示し、Pervasice Computingの分野に貢献できることを願います。私もその一端に貢献できたらと思います。