DICOMO2024参加報告
坂井 俊介(福井大学大学院 工学研究科)
2024年6月26日(水)〜 6月28日(金)に岩手県花巻市 花巻温泉で開催されたマルチメディア、分散、協調とモバイル(DICOMO2024シンポジウム)に参加しました.DICOMO2024では,マルチメディア通信や分散システム,モバイルコンピューティングにIoTなど幅広い情報工学の領域から学術的成果や応用事例についての報告がありました.私はこのような大規模なシンポジウムに参加するのは初めてで,多少の不安と緊張がありながらも終わってみると非常に充実した3日間だったと思います.短いながらこの3日間をまとめた参加報告をさせていただきます.
1日目は午後からセッションが始まり,私は機械学習のセッションに参加しました.特に印象に残っていたのは「未知ゴミ識別のための判定手法の比較と実用化に向けた検討」でした.この研究では,ボランティアによって主導される屋外のゴミ拾い活動において,拾ったゴミを識別して自動的にゴミを拾った場所と種類を地図上に記録する”スマートトング”が提案されていました.ゴミを拾った場所と種類の情報は,どのような場所にどのようなゴミ箱を配置するかに活用されるそうです.アイデアはさることながら,システム全体としての完成度に感銘を受けました.機械学習のセッション終了後,IoT/エッジコンピューティングや交通・移動支援・時系列データ分析のセッションに参加しました.エッジ環境ならではの課題や手法を知り,良い知見を得られました.
(少し余談)
DICOMO2024は3日間に渡って開催され,宿泊施設で2泊することになります.そして,その2泊は「他の研究者・学生と同じ部屋」で過ごします.誰が同じ部屋になるのかは無作為に決まり,大体初対面の人と一緒に寝ることになります(※ 同年代かつ同性).私は正直これが不安で,同部屋の人と仲良くなれるのか心配していました.いざ泊まってみると,互いの研究室の文化の違いや情報理工系ならではの話など共通の話題が多く,すぐに打ち解けることができました.
2日目はまず,午前に開催されたアルゴリズムのセッションに参加しました.WiFi Channel State Information(WiFi CSI)を活用して行動認識する技術や,深度情報を活用した空撮画像中の切り株検出など,興味深い研究課題が多かったのを覚えています.その後,発話や認知,ロボティクスや遠隔制御といったセッションに参加しました.夕方始まったデモセッションでは,多くの人が集まり,賑わいを見せていました.遠隔での船舶操縦体験やシミューレータ間の違いを吸収して相互作用できる仮想空間など,VRやARを活用したデモが多くみられ,どれも刺激的な体験でした.2日目の夜にはナイトセッションがあり,一風変わった研究発表を聞くことができました.
3日目には,応用/実用のセッションで「離散潜在空間上でのMasked Image Modelingによる産業用画像の論理的な異常検知」という題目で自身の研究内容について発表しました.聴講していただいた方々から貴重なフィードバックをいただき,今後の研究を発展させるためのアイデアを得ることができました.
この3日間を通して,このような規模のシンポジウムに参加でき,多くの研究者の方々と交流できたことをとても嬉しく思っており,今後の研究にとって良い刺激になりました.実際,オンサイト開催であるからこそ生まれるアイデアや問題意識もあると思っており,こうしたイベントでより国内の研究コミュニティが活発になっていることを実感しています.終わりになりますが,DICOMO2024の開催にあたってご尽力してくださった運営の方々にお礼申し上げます.
DICOMO2024プログラム:https://tsys.jp/dicomo/2024/program/program.html