第77回UBI研究会参加報告
吉村 直也 (大阪大学)
2023年2月28日-3月1日に名古屋大学にて開催された、第77回UBI研究発表会に参加しました。この研究会はハイブリット形式で実施され、合計33件の発表がありました。オフラインでの発表が多く、現地にて非常に活発な議論が行われました。簡単にではありますが、研究会の様子を報告させていただきます。
本研究会は、情報処理学会MBL研究会・電子情報通信学会SeMI研究会と合同開催となっており、私にとって目新しいトピックに多く触れることができました。個人的に特に気になった研究をいくつか紹介いたします。公立はこだて未来大学の西さんは、スマートフォンの被覆状態を推定する研究に関して発表されました。家の中でスマートフォンの場所を特定するという位置推定のタスクはすでに提案されていますが、西さんの研究はカバンの中に入っている、あるいはスマートフォンの上に何かが被さっているなどの被覆状態を推定するものであり、コンセプトが非常に面白いと思いました。また、筑波大学の雨坂さんは、ヒアラブルデバイス向けの認証技術を提案されていました。一人ひとり耳の形が異なることを利用し、反響音の違いから個人を認証するという手法です。音のみで耳の形の違いを詳細に取得することができることに、非常に驚きました。和歌山大学の仙道さん (発表=吉廣先生) は、行動経済学に基づいた動機づけ手法の研究に関して発表されました。IKEA効果や単純接触効果など行動経済学の知見に基づいてクラウドソーシングのフレームワークを設計され、効果検証をされていました。現在は学生を対象とした実験となっておりますが、今後実用に向けた更なる検証が楽しみです。
2日目は今年度で卒業する博士学生を対象とした博士論文セッションがあり、私を含め4名の学生が各自の博士論文を紹介しました。私は、産業ドメインにおける行動認識技術をメインテーマとし、(1) 作業行動の認識モデル、(2) 作業行動データセットの構築、(3) 行動認識モデルの可視化手法について紹介させていただきました。QAでは、構築したデータセットを用いた行動認識コンペティション OpenPack Challengeの上位の解法と、私の提案手法に関して議論をさせていただきました。
今回の研究会はオフライン開催であり、現地では参加者同士で様々な交流がありました。久しぶりに対面で会うことができた皆様や初対面の皆様と、今後のプランなどに関して語ることができました。また、昼食や夕食の時間には名古屋のご飯を楽しむことができました。大学の周辺には、非常にリーズナブルでボリューミーな定食屋さんが多くあり、2日間で、中華とハンバーグを美味しくいただき、連日満腹になりました。
最後になりますが、研究だけでなく様々な貴重な機会を提供してくださった本研究会、および準備してくださった先生方に感謝を申し上げたいと思います。次回のUBI研究会は、伊豆大島で開催されるとのアナウンスもありました。今後も斬新なアイデアの提案や、活発な議論が続いていくことを楽しみにしております。